世の中に一般企業の求人が増えるにつれ、専門学校や大学で思いを持って介護や社会福祉を志して勉強してきた学生さんも、一般企業や事務職に流れていきます。非常に残念でなりません。我々介護に携わる者たちの姿勢や施設運営が、もっと学生にとって魅力あるものに変えていかなければなりません。
3Kの仕事と揶揄され、学生が実習に行く先々で、学校の講義(理想)と施設の現状(現実)とのギャップに驚かされると聞きます。それは大規模施設で職員は一生懸命なのですが、第三者から見ると大人数を効率よく、短時間で流れ作業のごとく介護し、とても魅力ある職業に見えないのです。
介護にお困りの高齢者の役に立ちたかった、病院から退院した高齢者、呆けてきてしまって家族に阻害されている高齢者と関わる中で元気になってきた、歩けるようになった、喜んでくれたなど、「人のため・社会のために役立つ仕事がしたい」という同じような志を持った人達と、いわば「心のステージの高い人たち」と一緒に、納得できる仕事がしたいのです。
介護という仕事は、きれいな仕事だけではありません。殆どが家事支援の仕事です。単純で誰にでもできる仕事に見えがちですが、もちろん三大介護は大事でしっかりできなければなりません。
また、人間関係を築くことが大切な仕事だと皆に伝えています。利用者とそのご家族と担当ケアマネージャーと、人間関係を築けることがいい介護につながるのです。人間関係を築き、利用者が喜んでくれたり、元気になったりすることを我が事のように喜べる仕事やりがいを感じられる仕事です。
「人の生き方」としてはまさに次元の高い、ステージの高い生き方、仕事ではないでしょうか?
認知症状によっては意思疎通を図ることすらも、難しいケースもあります。
そのような状況でも職員は、損得抜きに思いやり・優しさ・利他の心を持って「利用者に安心して暮らしてもらいたい」と親身になって関わっています。介護が必要な高齢者が少しでも幸せを感じて暮らしてほしい、その為にどんな苦労もいとわず「使命感」を持って働いてくれる後ろ姿に、手を合わせて”ありがとう”と伝えたいと思います。
介護対象の高齢者が元気になる、歩けなかった人が歩けるようになる、食べれなかった人が食べれるようになるなど、元気になることを我が事のように喜び合える仕事です。利他の心と表現しても良いかもしれません。
だからこそ胸を張って堂々とプライドを持って働いて欲しいのです。